事故後の現場で知った、見守り続けることの責任

事故後の現場で、見えてきたもの

事故やヒヤリハットが続いた後の現場には、いつもとは少し違う空気がありました。

朝の送迎、フロアでの見守り、朝の会、体操、おやつ対応、帰りの送迎。

一日の流れはいつも通り進んでいきます。

けれどその中で、職員さんたちがそれぞれの立場で抱えているものや、お客様の安全を守るために気を張り続ける重さを、以前より近くで感じるようになっていました。

事故後の現場に残っていた空気

その日は、新しく利用されるお客様もいて、朝の送迎からいつもより時間がかかりました。

フロアに戻ってからも、どこか慌ただしい空気の中で朝の会を行い、歌や体操、脳トレ、口腔体操と、いつもの流れを進めていきます。

表面上は、いつも通りの一日です。

それでも、事故やヒヤリハットが続いていたこともあり、現場全体には少し重い空気が残っているように感じました。

管理者さん、生活相談員さん、看護師さん、それぞれの立場から話を聞く場面もありました。

現場で直接お客様と接する職員の気持ち。

ご本人やご家族とのやり取り、契約までの背景も含めて考える立場の重さ。

医療面や体調の変化を見ている人の緊張感。

同じ出来事を見ていても、立場によって見えているものや抱えているものは少しずつ違うのだと思いました。

私はまだ新人なので、すべてを理解できるわけではありません。

それでも、現場で働く人たちが、それぞれの立場で考え、悩みながら動いていることは伝わってきました。

ほんの一瞬で起きるヒヤリハット

帰り際、帰宅願望が強いお客様が、歩行器を持って出口の方へ向かおうとされていました。

ドアは閉まっていたため、大きなことにはつながりませんでした。

ただ、その後、ほんの一瞬目を離した隙に、歩行器へ座ろうとされましたが、ロックがかかっていなかったため、そのまま後ろへ尻もちをつかれてしまいました。

周囲のお客様の声かけで気づき、幸い怪我はありませんでした。

それでも、本当に一瞬の出来事でした。

気をつけようと話していた中でも、現場では一瞬の変化を見逃せないのだと感じました。

この日は新しいお客様もいて、職員の配置も決して余裕があるわけではありません。

看護師さんが介護側に入ってくださる場面もあり、全体的にかなり慌ただしい一日だったと思います。

朝の送迎から時間が押していたこともあり、「今日は何かありそうだな」という緊張感が、最後まで続いていました。

事故やヒヤリハットは、起きてから考えるだけでは遅い。

だからこそ、どうすれば防げるのか。どこで声をかければよかったのか。どこを見ていればよかったのか。

そう考え続けることも、現場の仕事なのだと思いました。

気を張り続ける見守り

その後も、朝から長い勤務の日がありました。

朝と帰りの送迎、フロア全般の見守りを担当しながら、一日を通して周囲に気を配り続けます。

その日のお客様は21名。

人数だけを見れば、ただ多い少ないの話に見えるかもしれません。

けれど実際には、一人ひとり、気をつける場所が違います。

歩き回る方。帰宅願望が強い方。不安感が強く、何度も確認される方。

声かけの仕方も、動き出すタイミングも、それぞれ違います。

一人の動きだけを見ていればいいわけではありません。

誰かが立ち上がれば、その周りの方も動き出すかもしれない。

誰かが不安そうにしていれば、声をかける必要があります。

送迎やお茶出し、体操やおやつの準備をしながらも、常にどこかで周りを見ている感覚がありました。

身体を動かす疲れもあります。

ただ、この時に強く感じたのは、体力よりも「何か起きないように」と気を張り続ける疲れでした。

介護の仕事は、体力だけではなく、注意を張り続ける仕事でもあるのだと感じました。

また来てもらえることになった日

その中で、少し嬉しい知らせもありました。

以前、入浴に関わる場面で転倒されたお客様について、もう一度利用したいという連絡があったことを知りました。

一度はご利用が区切りとなっていましたが、お風呂の利用はなしという条件で、また通ってくださることになったそうです。

私はその方の送迎を担当することも多く、会話もたくさんしていました。

また通うことになった背景には、事故後の対応を見直し、ご本人やご家族と向き合ってきた職員の方々の積み重ねがあったのだと思います。

そのうえで、自分も送迎や日々の会話の中で少しでも関わっていたからこそ、「少しは安心してもらえたのかな」と感じて嬉しくなりました。

事故が起きた後、現場には重さが残ります。

ご本人やご家族の不安もあると思います。

職員側も、同じことを起こさないように考え続けます。

その中で、また来てもらえることになったと聞いた時、怖さだけでは終わらないものもあるのだと思いました。

信頼は、一度で戻るものではないのかもしれません。

それでも、日々の声かけや送迎での会話、職員の方々の対応が、少しずつ安心につながることもあるのだと思いました。

まだ新人だからこそ、考え続けたい

事故やヒヤリハットが続くと、現場の空気はどうしても重くなります。

職員さんたちの言葉にも、いつもより慎重さや疲れがにじんでいるように感じました。

その中で、自分にできることはまだ多くありません。

それでも、今できることを積極的にやりたいという気持ちはあります。

忙しい日には、これまで任せてもらえていたことを任されない場面もありました。

きっと、現場全体に余裕がなかったからだと思います。

それでも少しだけ、「自分でやった方が早い」と思われているのかなと寂しく感じる部分もありました。

まだ新人で、できることは少ない。

だからこそ、任せてもらえることがあると嬉しいし、任されなかった時には少し気持ちが揺れます。

現場が忙しい時ほど、確実さや安全が優先されるのだと、今は理解しています。

事故を防ぐために、何を見るのか。どこで声をかけるのか。自分が動くべき場面と、まだ先輩に任せるべき場面をどう判断するのか。

少しずつ現場に慣れてきたからこそ、そうしたことも考えるようになりました。

事故後の重さを知り、ヒヤリハットの怖さを見て、それでもまた来てもらえることになった嬉しさもありました。

この数日の中で、介護の仕事は怖さだけでも、嬉しさだけでもないのだと感じています。

まだ分からないことは多いです。

それでも、目の前の出来事をひとつずつ受け止めながら、現場の中で覚えていきたいと思います。

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